<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<feed version="0.3" xml:lang="ja" xmlns="http://purl.org/atom/ns#" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"><title>cholon［チョロン］| 今日のタナイチ</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/" /><modified>2008-11-10T16:04:41+09:00</modified><tagline /><generator url="http://jugem.cc/">JUGEM</generator><entry><title>ユリイカ10月臨時増刊号　総特集 杉浦日向子</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=679222" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=679222</id><issued>2008-11-10T15:50:32+09:00</issued><modified>2008-11-10T07:04:40Z</modified><created>2008-11-10T06:50:32Z</created><summary>東京に暮らしたことのない道産子の僕は、いい大人になるまで「東京なんて人のすむところじゃない」と分かったようなふりをして言っていました。本当は東京が怖かったからです。進学する時も無難に北海道内の学校に行くことにしたりして。度胸がないんですね。

そんな鎖...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/hinako.jpg" width="180" height="280" alt="" class="pictr" />東京に暮らしたことのない道産子の僕は、いい大人になるまで「東京なんて人のすむところじゃない」と分かったようなふりをして言っていました。本当は東京が怖かったからです。進学する時も無難に北海道内の学校に行くことにしたりして。度胸がないんですね。<br />
<br />
そんな鎖国的な学生時代、杉浦日向子さんが江戸を舞台に縦横無尽に描くまんがやエッセイに出会いました。ちょうど落語に興味を持ち出し、江戸の風情や暮らしぶりが妙に気になり始めたころでした。杉浦さんは江戸と現在の東京を自由に行き来し、江戸の習俗を鮮やかに楽しく教えてくれました。そして現在の東京のあちこちに江戸の暮らしや怪しみみたいなものの名残がたくさんあることを伝えてくれ、江戸を通じた東京という街の魅力を教えてくれました。<br />
<br />
その結果、「東京なんて」と言っていた僕の考えは「一度ぐらいは東京に暮らしてみたいな」というレベルまで変化していったのです。なので、杉浦さんは僕にとってはおそれながら「東京の先生」といった存在。残念ながら、未だ東京暮らしの機会は訪れず、猛暑のテレビニュースなどを見ては「東京なんて」とうそぶいているんですけど。<br />
<br />
まんがの世界から「隠居」した後も、テレビなどではお元気そうに振る舞われていた「東京の先生」が、46歳の若さで急逝したのは３年前。もっともっと江戸について、東京について教えてほしかった。80歳になっても、90歳になっても変わらぬ少女のような顔で江戸について語っているはずという、勝手な（物の怪的）イメージを抱いていたので、かなりのショックを受けましたが、きっと今ごろは江戸の世に生まれ変わって、お元気でおられるのでしょう。<br />
<br />
本書は杉浦さんと関係のあった方々の回想や、全作品の解説、作品の論考などのほか、未発表作品、下書き原稿、プライベート写真などをまとめた、まさに総特集。代表作のひとつ「百物語」をめぐる中沢新一さんとの怪談対談（1998年の対談を再掲載）が楽しい。また「ソ連」（ソバ好き連）メンバーの座談会でも、杉浦さんの不思議な魅力を再認識できます。（2008年、青土社）]]></content></entry><entry><title>LIVE AT THE 19th MONTREUX JAZZ FESTIVAL／ジョアン・ジルベルト</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=654755" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=654755</id><issued>2008-10-15T17:24:00+09:00</issued><modified>2008-10-16T09:58:45Z</modified><created>2008-10-15T08:24:00Z</created><summary>ジョアン・ジルベルトの日本公演まであと２週間。当日までにジョアンのアルバムをひと通り聴いておこうという「復習」は、何だかバタバタしている間に、どうやら間に合わない感じになってきましたが、まあ、頑張ってみます。

本作は1985年７月、スイスのモントルーで開...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/joaoMONTREUX.jpg" width="200" height="196" alt="" class="pictr" />ジョアン・ジルベルトの日本公演まであと２週間。当日までにジョアンのアルバムをひと通り聴いておこうという「復習」は、何だかバタバタしている間に、どうやら間に合わない感じになってきましたが、まあ、頑張ってみます。<br />
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本作は1985年７月、スイスのモントルーで開かれた世界的に有名なジャズフェスティバルに出演した際のライブ録音盤。完全にギター１本の弾き語りで、15曲が収録されています。<br />
<br />
このギター１本という演奏スタイルについては、過去の来日公演でもそうだったこともあって、すっかりジョアンのスタイルとして、僕たちは素直に受け入れてしまいますが、ジョアンのディスコグラフィーを見てみると、このスタイルでの録音は実はこれが初めてでした。本作以前のアルバムはどれも、ジョアンのギターが演奏の主役とはいえ、ごく控えめではありますがパーカッションが入っていたり、壮麗なオーケストラがオーバーダビングされたりしていました。<br />
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２枚組で収録時間は80分強。この間、ギター１本と歌だけで、まったく飽きさせることのない、ダイナミックな演奏を聴かせてくれます。改めて考えるとたいへんなことですよね。コーラスごとに、ギターのヴォイシングやリズム、歌のメロディーラインも微妙に変えて、実に軽快。ジョアンの演奏は伸び伸びしていて、とても楽しそうです。<br />
<br />
楽しそうといえば、お客さんも実にリラックスしてステージを楽しんでいます。やや行儀が悪いほどの大きなかけ声や、何かものを倒す音、笑い声や話し声も聞こえますが、心からジョアンの演奏に喜んでいる様子。「フェリシダージ」では客席が大合唱となり、ジョアンはそれをにこやかに（見えませんが）味わい、ハーモニーを付けたりします。ステージと客席が一体になるライブならではの美しく、うらやましい光景です。<br />
<br />
最初の日本公演でジョアンが「フェリシダージ」を演奏した時、客席からコーラスが起こりかけ、僕も思わず歌いそうになりましたが、何だか周りからにらまれたようで、すぐにやめてしまいました。コーラスもすぐに立ち消えになりました。ジョアンもあの時は何だかコーラスを誘っているような気がしたんですけどね。今年の公演ではどうなるでしょうか。楽しみです。<br />
<br />
この年のモントルージャズフェスには、アントニオ・カルロス・ジョビンも招かれていて、共演なるかーと話題になったそうですが、主催者の目論見は外れてしまったとのこと。それどころか、出演順をめぐって２人の間でひと悶着あったという話さえあります。本当のところはよく分かりませんが。（2007年、BOMBA RECORDS ／オリジナルは1986年、Warner Bros.Records）<br />
]]></content></entry><entry><title>猫ジャケ　素晴らしき”ネコード”の世界／レコードコレクターズ増刊</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=624903" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=624903</id><issued>2008-09-22T17:42:17+09:00</issued><modified>2008-10-16T09:56:47Z</modified><created>2008-09-22T08:42:17Z</created><summary>音楽好きで猫好きという人は、とっても多いですよね（まあ、音楽好きで犬好きとか、音楽好きでハムスター好きとかいう人も相当いるでしょうけど）。僕も音楽＆猫好きの仲間の一人です。そんなわれわれのための本が、とうとう出版されました。

ジャケットに猫が登場して...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/nekojac.jpg" width="180" height="204" alt="" class="pictr" />音楽好きで猫好きという人は、とっても多いですよね（まあ、音楽好きで犬好きとか、音楽好きでハムスター好きとかいう人も相当いるでしょうけど）。僕も音楽＆猫好きの仲間の一人です。そんなわれわれのための本が、とうとう出版されました。<br />
<br />
ジャケットに猫が登場しているレコードばかりを集めて、その「猫ジャケ」写真を約200点、ずらりと並べた写真集。もう、たまりませんよ。眺めている間中ニヤニヤしっぱなし。いろんな猫ジャケがあるもんだなあ。抱かれた猫が明らかに嫌がっていると分かるジャケットもたくさんありますね。持っているレコードも何枚か掲載されていたりして、ますますニヤニヤしてしまいます。<br />
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レコードコレクターズの増刊らしく、作品の解説も、やや猫に寄せたものではありますが、一応入っていて参考になります。いや待てよ、重要なのは、録音の中身よりジャケットの猫がいかにかわいいかーですから、作品解説はあんまり参考にならないかな。<br />
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猫とかかわりの深いミュージシャン、遠藤賢司さん（エンケン）や、畠山美由紀さんのインタビューのほか、ミュージシャンや評論家が選ぶ「私が好きな３枚」コーナーも掲載されていて、「音楽＆猫好き」のご同輩の、猫バカっぷりも楽しめます。<br />
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猫が登場するレコードは、通称「ネコード」と呼ばれており、本書によると渋谷には「ネコードコーナー」が独立して設けられているレコード屋さんもあるらしいです。行ってみにゃいと。（2008年、ミュージック・マガジン）<br />
]]></content></entry><entry><title>JOAO／ジョアン・ジルベルト</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=615873" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=615873</id><issued>2008-09-13T15:13:25+09:00</issued><modified>2008-09-13T06:24:45Z</modified><created>2008-09-13T06:13:25Z</created><summary>「ジョアン・ジルベルト復習シリーズ」を今回も続けます。いよいよ日本公演まで２カ月を切り、果たして「復習」が間に合うのか微妙な感じになってきました。急いで行きましょう。

本作は、前回もちょっとだけ触れた1991年のアルバムです。ジョアンの他のアルバムに比べ...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/joaojoao.jpg" width="200" height="198" alt="" class="pictr" />「ジョアン・ジルベルト復習シリーズ」を今回も続けます。いよいよ日本公演まで２カ月を切り、果たして「復習」が間に合うのか微妙な感じになってきました。急いで行きましょう。<br />
<br />
本作は、前回もちょっとだけ触れた1991年のアルバムです。ジョアンの他のアルバムに比べて、格段にゴージャスなオーケストラアレンジが施された作品（特に前回紹介したのは歌とギターだけでしたし）。流麗なオーケストラ演奏をバックにしたジョアンの歌声に、夢を見ているような気持ちにさせられます。どの曲もまるで古いハリウッド映画を見ているかのようにドラマチックに、そして苦しいほど美しく仕上げられています。<br />
<br />
ジョアンといえば、日本公演でも聴くことができたシンプルなギターの弾き語りも素晴らしいのですが、このデラックスな感じもとてもいい。そしてゴージャスなアレンジの中でもジョアンのギターと柔らかい歌声は明瞭に聴き手に届いてきます。ジョアンのアルバムを聴く時は、割と聴き手側にも集中力が必要なような気がしますが、本作に限っては自宅でお茶など飲みながらリラックスして聴くのにも最適。秋の夜長にちょうどよさそうです。<br />
<br />
ジョアンはこのアルバムで、ポルトガル語のほか、英語でコール・ポーターの曲、フランス語でシャンソンも歌っています。ジョアンの英語の発音はちょっとかわいらしいですよ。カエターノの「サンパ」も歌っていますが、アレンジも含めて素晴らしいと思います。しかし、どこの国の曲を、どんな言語で歌っても、そしてどんなにゴージャスなアレンジで歌っても、ジョアンの流儀（すなわちボサノバ）になってしまう。気軽に聴けるアルバムと書きましたが、ジョアンのそんな「凄み」もあらためて感じられる作品です。<br />
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アレンジはクレア・フィッシャー。ノスタルジック感にあふれる弦もいいですが、木管のさりげない感じがとても好きです。ジョアンの歌声と絶妙に絡む木管の動きにも、ぜひ耳を澄まして聴いてみてください。（1991年、PolyGram）<br />
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]]></content></entry><entry><title>ツィス／広瀬正</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=607210" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=607210</id><issued>2008-09-04T15:53:18+09:00</issued><modified>2008-09-04T07:23:22Z</modified><created>2008-09-04T06:53:18Z</created><summary>「日本ＳＦ界の記念碑的存在」といわれる作家、広瀬正さんの小説全集文庫が復刊されることになり、７月から６カ月連続で刊行中です。熱心なＳＦファンでもない僕は、広瀬正という名前こそ何となく知っていたものの、作品をまとめて読むのは初めて。わくわくしながら刊行を...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/P1060662.JPG" width="180" height="268" alt="" class="pictr" />「日本ＳＦ界の記念碑的存在」といわれる作家、広瀬正さんの小説全集文庫が復刊されることになり、７月から６カ月連続で刊行中です。熱心なＳＦファンでもない僕は、広瀬正という名前こそ何となく知っていたものの、作品をまとめて読むのは初めて。わくわくしながら刊行を待ち、復刊第１作の「マイナス・ゼロ」から楽しんで読んでいます。<br />
<br />
本作は８月に刊行された復刊第２作。「ツィス」とは「Cis」、つまりドイツ音名の「C＃」＝「嬰ハ音」のことですね。東京近郊の一人の女性の耳鳴りかと思われた小さなツィス音がどんどん大きくなり、この不快な音がやがて首都圏に波及して、人々は疎開を余儀なくされるーというパニック小説です。<br />
<br />
1970年代の作品であるため、描かれている時代や風俗があまりにも古く、初めは違和感も感じますが、読んでいくうちに、それがまた「ＳＦ的世界」を構築する支えになっているような気がしてきます。今、私たちが生きている世界とはちょっとずれた別の場所にある、もう一つの世界が、作品発表当時には最新の風俗だったさまざまな事象が描かれることによって浮かび上がってきます。もう一つの世界、ＳＦでいうところのパラレルワールドですね。そこで読者は安心してＳＦ世界に身を委ね、存分にＳＦを楽しむ構えができるわけです。この作品が発表された当時は、もちろん同時代を描いているため、こんな読み方はできなかったはず。これはまさに今の時代にしか味わえない読書の喜びでしょう。<br />
<br />
もちろん作品は、そんな読み方は別にして、傑作の名にふさわしいもの。まさに息をもつかせずに物語は展開し、最後まで一気に読めてしまいます。やや不自然なほど生硬な文章や、作者の趣味と思えるカタログ的なうんちくを盛り込んだ文章なども、かえってＳＦ世界をよりＳＦらしく彩ります。どうなるのか、どうなるのかと思いながら読んでいくと、衝撃的な結末が用意されており、何とも複雑な読後感。広瀬正さんのＳＦ世界に放り込まれ、さんざん振り回され、最後にぽーんと投げ出されたような気持ち。まさにＳＦ的な、ＳＦ小説の醍醐味を味合わせてくれる作品です。<br />
<br />
<strong>＊以下、いわゆる「ネタバレ」があります。本書をこれから読む方はご注意を。</strong><br />
読んでいる間中、物語の中では絶えず耐え難いほどの大きな音がしているはずなのに、小説世界がおそろしいほど静かなのが気になっていました。パニック小説とはいえ人々が無秩序に逃げ回ったりする場面がないからかなあ、まるで反響が一切ない部屋に閉じ込められたみたいに静かだなあ。耳が聞こえない登場人物の一人に寄り添いながら読み進んでいるからかな、それにしても不思議だなあーなどと思いながら読んでいきましたが、その謎も最後に解き明かされ（やや含みはありますが）、やられたーと驚き、うれしい気分にもなりました。<br />
<br />
時代を超えて、愛読されるにふさわしい傑作です。復刊を決めた出版社に感謝したいと思います。広瀬正小説全集は12月まで毎月１冊ずつ刊行されていきます。早く次の作品が読みたいです。（2008年、集英社文庫）<br />
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]]></content></entry><entry><title>Joao Voz e Violao／ジョアン・ジルベルト</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=592986" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=592986</id><issued>2008-08-20T19:02:05+09:00</issued><modified>2008-08-20T10:28:12Z</modified><created>2008-08-20T10:02:05Z</created><summary>ぼんやりと過ごしているうちに夏ももう終わり。ジョアンの４回目の日本公演が迫ってきました。ジョアンのアルバムを聴き返しているこのシリーズも、急がなければあっという間にコンサートのある１１月がやってきそうです。

本作は「ジョアン、声とギター」のタイトル通...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/vozeviolao.jpg" width="200" height="198" alt="" class="pictr" />ぼんやりと過ごしているうちに夏ももう終わり。ジョアンの４回目の日本公演が迫ってきました。ジョアンのアルバムを聴き返しているこのシリーズも、急がなければあっという間にコンサートのある１１月がやってきそうです。<br />
<br />
本作は「ジョアン、声とギター」のタイトル通り、完全に歌とギターだけのソロアルバム。現時点で、ジョアンのスタジオ録音アルバムとしては最新作です。実にシンプルな録音。実はこのスタイルでの録音は、ジョアンの長いキャリアの中で、ライブアルバムを除けば初めてのことでした。前作（といっても１０年ほど間があいていますが）の「JOAO」はノスタルジックなオーケストレーションが美しいゴージャスな作品だっただけに、その対比に驚かされます。<br />
<br />
録音も生っぽく、ギターや唇のノイズも聞こえるほど。すぐ目の前でジョアンが歌ってくれているような気持ちにさせられます。至福の時。しかし、のんびりと聴く訳にはいきません。ジョアンが声とギターだけで展開するのは、鋭く、厳しく、研ぎすまされた、静かな、密な、しかし軽やかな世界。ジョアンがものすごく集中しているのが伝わってきます。だらっと聴くことはできません。背筋が思わず伸びてしまうような音楽。夏のぼんやりもすっきりと吹き飛びそうです。もちろん全１０曲を聴き終わった後、全身を幸せなリラックス感が包んでいるのに気がつきますが。<br />
<br />
１曲目は大好きなカエターノ・ヴェローゾの曲「サンバがサンバであるからには」。ともかくギターのコードワークが凄まじい。この１曲を聴くだけで打ちのめされそうになります。想像を絶するギターの演奏に、ジョアンの世界、ジョアンの宇宙に引きずり込まれ、最後の曲（「想いあふれて」！）まで現実世界に帰ってこれません。このアルバムはカエターノがプロデュースしているんですが、自分の曲をこんな風に演奏されたら、うれしいだろうなあ。プロデューサーではあるけれども、もうすべてジョアンにお任せ、何も口出しできなくなってしまいそう。実際にそうだったようですけどね。<br />
<br />
「沈黙をも凌駕するのは、ジョアンだけだ」と、カエターノは自身の作品で歌っています。声とギターによるジョアンの世界は、どこまでも静かで、果てしない。本作は沈黙以上の深淵なるジョアンの世界、宇宙を体感できる、ちょっと怖いぐらいに美しいアルバムです。<br />
<br />
このアルバムの後、ジョアンは２００３年に初来日し、声とギターだけで、そして半時間にも及ぶ「沈黙」（そういう事件があったんです）で、聴衆をジョアンの世界、宇宙へ引きずり込みました。そのコンサートは、一瞬だったような、永遠だったような、これまで一度も体験したことがないものでした。２００４年のコンサートでも、２００６年のコンサートでも、ジョアンは声とギターだけで、新しい体験をもたらしてくれました。<br />
<br />
ボサノヴァ創始者のひとり、アントニオ・カルロス・ジョビンは５０年前、ジョアンのデビューアルバムのライナーで、まったく新しい音楽をこの世界に生み出したジョアンのことを「２７歳のボサノヴァ」と呼びました。あれから５０年。ジョアンは日本式でいえば今年で喜寿。しかし今もなお、新しい音楽体験を僕たちに運んでくれる「永遠のボサノヴァ」なのです。（２０００年、UNIVERSAL MUSIC）<br />
]]></content></entry><entry><title>幻の特装本／ジョン・ダニング</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=565122" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=565122</id><issued>2008-08-06T14:14:09+09:00</issued><modified>2008-08-06T15:10:01Z</modified><created>2008-08-06T05:14:09Z</created><summary>活版印刷の技術の継承と、活版による新しい表現にチャレンジしている「オールライト工房」のみなさんが東京からチョロン本店に来られ、活版印刷を間近で見る機会を得ました。すごかった。活字を拾って、版を組み、手刷りで印字していきます。まだお若いみなさんですが、す...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/maborosi.jpg" width="180" height="257" alt="" class="pictr" />活版印刷の技術の継承と、活版による新しい表現にチャレンジしている「<a href="http://www.allrightkoubou.com/allrightkoubou/" target="_blank">オールライト工房</a>」のみなさんが東京からチョロン本店に来られ、活版印刷を間近で見る機会を得ました。すごかった。活字を拾って、版を組み、手刷りで印字していきます。まだお若いみなさんですが、すでに職人気質というような雰囲気を身にまとっておられ、てきぱきとかっこいい仕事ぶりでした。<br />
<br />
そんな活版印刷のおもしろさに触れたところで、棚から引っ張り出してきたのが本書。アメリカのミステリー作家ジョン・ダニングの作品です。古本好きが高じて警察官の職を辞し、古書店を始めたジェーンウェイが活躍するシリーズの２作目。前作ではまだ警察官だったジェーンウェイですが、本作ではすっかり古書店の主人におさまっています。<br />
<br />
血なまぐさい事件から離れてのんびりと古書にふける毎日を送るジェーンウェイ。そこへ元同僚から奇妙な依頼が舞い込みます。存在するはずのないポー「大鴉」の限定版を盗んで逃亡している女を連れ戻してほしいというもの。そして事件が動き出します。<br />
<br />
ミステリーなので内容についてはこれ以上触れませんが、ストーリーのかぎとなる「大鴉」の特装本をめぐる記述が実に魅力的。特装本はもちろん活版です。特別の活字を作り、１冊ずつ手刷りされた特別な本。異常なまでの職人気質が発揮される場面の描写には、オールライト工房のみなさんの熱心な仕事ぶりを思わず重ね合わせてしまいました。<br />
<br />
活版印刷や古書、古書業界のうんちくにあふれ、ハードボイルドやアクションのおもしろさも存分に盛り込んだ本書。本好きのみなさんにはとりわけおすすめです。暑くて寝苦しい夜にもぴったりの快作です。（１９９７年、ハヤカワ文庫）]]></content></entry><entry><title>ジョアン・ジルベルトの伝説／ジョアン・ジルベルト</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=548508" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=548508</id><issued>2008-07-09T17:15:31+09:00</issued><modified>2008-07-09T08:36:53Z</modified><created>2008-07-09T08:15:31Z</created><summary>７月１０日はボサノバの誕生日。１９５８年のこの日に、ジョアン・ジルベルトが「想いあふれて」「ビンボン」の２曲を録音し、これによってボサノバが世に生み出されたとされています（異論もあるようですが）。今年２００８年は、それから数えて５０年。「ボサノバ５０周...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/P1040512.JPG" width="200" height="197" alt="" class="pictr" />７月１０日はボサノバの誕生日。１９５８年のこの日に、ジョアン・ジルベルトが「想いあふれて」「ビンボン」の２曲を録音し、これによってボサノバが世に生み出されたとされています（異論もあるようですが）。今年２００８年は、それから数えて５０年。「ボサノバ５０周年」になるというわけです。<br />
<br />
５０周年を記念して、ジョアンのアルバムを聴き直すシリーズの３回目は、その２曲も収録されているアルバム「伝説」です。つまり、このアルバムにボサノバが生まれた瞬間が記録されているということなんです。これがすべての始まりなんですね。<br />
<br />
内容は１９５８年から６１年までに録音されたジョアンの初期のアルバム３枚とＥＰ盤を編集したもので、全３８曲が収められています。現在もジョアンのレパートリーとなっている曲の大部分（つまりそれはボサノバの超名曲集ということです）がずらりと並んでいます。世の中にボサノバの名曲集、コンピレーションアルバムはたくさん出回っていますが、これがオリジナル。そして、後発のどれとも似ていない、ジョアンの音楽です。<br />
<br />
録音は確かに古く、アレンジもやや大仰で、ジョアンの歌声も若いですが、ボサノバは生み出された時にすでに完成形だったことがよく分かります。ジョアンの歌声やギタープレイは今も進化し続けていると言えますが、この初期の録音でも、ジョアンの世界はすでにつくり上げられています。<br />
<br />
冒頭に収録されているのがボサノバ最初の曲「想いあふれて」。特徴的なイントロが聴こえ、ジョアンが歌い出すだけで、胸が熱くなって、まさに想いがあふれてきます。わずか２分足らずの曲ですが、この１曲が世界のポピュラー音楽の歴史を書き換えたんですね。<br />
<br />
ついでに言えば、僕はこのＣＤでたくさんのボサノバの曲を覚えました。歌詞カードもかなり真剣に読みました。本当に素晴らしいアルバムです。<br />
<br />
そんな本作ですが、元の録音と比べると、曲順はバラバラ、収録時間の関係からフェイドアウトされている曲もあることなどから「オリジナルと違う」という人もいるようです。ただ、元のＬＰなどはすでに入手困難であり（もちろん僕も持っていません）、簡単に聴くことができないので、僕には比べようもありません。さらに言えば、このＣＤも現在はジョアン本人の意向（らしい）から廃盤となっており、これまた入手は困難。数年前に一時、赤いジャケットのフランス盤が出回りましたが、それも今では見かけません。お持ちでない方は、もし中古店などで見かけたら、何も考えずに手にとられることをお勧めします。（１９９３年、東芝ＥＭＩ）<br />
]]></content></entry><entry><title>気になる部分／岸本佐知子</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=535228" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=535228</id><issued>2008-07-03T14:46:31+09:00</issued><modified>2008-07-14T11:23:01Z</modified><created>2008-07-03T05:46:31Z</created><summary>当代随一のエッセイスト（本業は翻訳家ですが）の第１エッセイ集。ともかく衝撃的な１冊です。げらげら笑えて、心底共感できるんですが、あれ、笑っていていいのかな、共感して大丈夫かなとふと怖くなってしまうような、何といっていいのか分からなくなるような、不思議な...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/kininaru.jpg" width="180" height="279" alt="" class="pictr" />当代随一のエッセイスト（本業は翻訳家ですが）の第１エッセイ集。ともかく衝撃的な１冊です。げらげら笑えて、心底共感できるんですが、あれ、笑っていていいのかな、共感して大丈夫かなとふと怖くなってしまうような、何といっていいのか分からなくなるような、不思議な本なんです。<br />
<br />
さすが翻訳家だけあって、言葉の選び方が尋常でなく、身の回りに起こる奇妙な出来事を、さらりさらりと、しかし凄まじく爆発力のある文章で綴っていきます。<br />
<br />
そして特筆すべきはその「妄想力」。よくテレビで漫才やコントの人が「妄想」という言葉を使っているのを聞きますが、岸本さんの妄想力はケタが違います。その辺の一般人はもとより、芸能人も足元にも及びません。<br />
<br />
本書にも「軽い妄想癖」という章が設けられていますが、「軽い」というのはたいへんな謙遜（？）で、たいへんな誤りです。この後、岸本さんの妄想力はどーんと突き抜けていき、最近創刊された柴田元幸さんが責任編集人を務める文芸誌「モンキービジネス」（最高におもしろい。次号も楽しみ）でも連載ページを持たれていますが、その妄想力たるや、人知の及ばぬ地平へ行ってしまった感があります。「妄想が趣味」とか言っている人は、岸本さんから妄想の何たるかを学んでいただきたい。<br />
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もちろん翻訳家としての岸本さんの活躍ぶりも素晴らしい。ニコルソン・ベイカーはじめ、今おもしろい英米文学の多くを手がけておられ、岸本さんが翻訳している作品なら、知らない作家でも読んでみて大丈夫ーと思わせてくれます。最近出版された岸本さんの監修、翻訳による作品「変愛小説集」も何だかすごいです。<br />
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白水Ｕブックス版には川上弘美さんのことを妄想力たっぷりに書いたボーナストラックも収録されています。岸本さん、気になる人です。（２００６年、白水Ｕブックス。単行本は２０００年発行）]]></content></entry><entry><title>JOAO GILBERTO PRADO PEREIRA DE OLIVEIRA - AO VIVO／ジョアン・ジルベルト</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=529537" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=529537</id><issued>2008-06-27T15:30:04+09:00</issued><modified>2008-06-30T08:27:39Z</modified><created>2008-06-27T06:30:04Z</created><summary>ボサノバ生誕５０年、今秋のジョアン・ジルベルト再来日を記念して、ジョアンのアルバムを聴き返すシリーズの２回目。今回はライブ盤です。リオのテレビ番組での演奏を収録した作品で、長いタイトルはジョアンの本名です（AO VIVOはライブ盤の意味です）。

収録された...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/1joaovivo.jpg" width="200" height="197" alt="" class="pictr" />ボサノバ生誕５０年、今秋のジョアン・ジルベルト再来日を記念して、ジョアンのアルバムを聴き返すシリーズの２回目。今回はライブ盤です。リオのテレビ番組での演奏を収録した作品で、長いタイトルはジョアンの本名です（AO VIVOはライブ盤の意味です）。<br />
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収録されたのは１９８０年。この年、ジョアンは１８年もの長い海外生活を終え、ブラジルに戻ります。ブラジル最大のＴＶ局グローボはジョアンの帰還を祝い、記念特別番組を制作しました。ジョアンのギターと歌、バックにオーケストラという演奏で、ジョアンはカエターノの当時の最新ヒットから、ずっと時代を遡ったサンバやマルシャの古典まで、まさに縦横無尽に弾き、語ります。もちろんジョビンの曲も。どの曲もまさにジョアンのもの。曲が作られた時代やスタイルに関係なく、ジョアンの世界が繰り広げられます。<br />
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孤高の人ジョアンですが、ボサノバ最初の曲「想いあふれて」では、当時１４歳だった愛娘ベベウ・ジルベルトとデュエットしてみせます。今と違って（いやいや今もかわいいですが）かわいらしい娘ベベウの歌声に、さりげなくハーモニーを付けるジョアンがまた何ともかわいらしい。また人気女性シンガー、女優のヒタ・リーとのデュエットもあり（このヒタ・リーが登場するあたりは実にテレビ番組っぽいです）、ジョアンはとても楽しそうな歌声を聴かせています。<br />
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この番組を録画したビデオがあるそうですが（僕は未見ですけども）、ジョアンは満面の笑顔で、ヒタと腕を組んだりして歌っているらしいと聞きました。本当かなあ。ふるさとに戻ってちょっと浮かれ気味のジョビンの姿、ぜひ見てみたいです。<br />
（追記…Youtubeで検索してみたら見ることができました。Youtubeってすごい。何でもありますね。しかし想像以上のショッキング映像でした。ヒタと腕を組んでハンドマイクで歌うジョアンは目が泳ぎっぱなし。ベベウとのデュエットは想像以上のかわいさでした）<br />
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このライブ盤は、１９９８年にボサノバ４０年を記念して初ＣＤ化。レコードではカットされた「ブラジルの水彩画」や「バイーア・コン・アガー」など４曲が、ビデオテープから起こされて追加収録されました。この４曲はさすがに音質は悪いですが、それだけに、ジョアンの繊細で、しかし力のある演奏が強く印象付けられるような気がします。<br />
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ようやく戻ったブラジルで、たくさんの人の歓迎を受け、新旧取り混ぜた故郷の曲を、幸せそうに演奏するジョアン。聴いているこちらも楽しく、開放されたような気分になれる作品です。（１９９８年、ワーナーミュージック・ジャパン）<br />
]]></content></entry><entry><title>あやつられ文楽鑑賞／三浦しをん</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=520685" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=520685</id><issued>2008-06-19T12:58:06+09:00</issued><modified>2008-06-19T04:07:33Z</modified><created>2008-06-19T03:58:06Z</created><summary>伝統芸能の「文楽」に触れる機会は極めて少ない。教育テレビでごくまれにやっているのを見たり、以前に人形の講習会をのぞきに行ったことがあったりするくらい。ちょっと前に風邪薬（？）のＣＭで使われていたかな、という記憶がある（人形がくしゃみをしていたような気が...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/bunraku.jpg" width="180" height="258" alt="" class="pictr" />伝統芸能の「文楽」に触れる機会は極めて少ない。教育テレビでごくまれにやっているのを見たり、以前に人形の講習会をのぞきに行ったことがあったりするくらい。ちょっと前に風邪薬（？）のＣＭで使われていたかな、という記憶がある（人形がくしゃみをしていたような気がする）が、生の舞台を見たことはもちろんない。でも、すごーく興味があるんです。<br />
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なぜなら、文楽＝人形浄瑠璃は、落語によく出てきて、江戸時代にはものすごい人気の芸能だったようだからなんです。落語の登場人物たちはよく、浄瑠璃を習ったり、いやがる近所の人を集めて下手な浄瑠璃を語ったりします。落語をおもしろがるためには、やっぱり文楽の魅力も分からないとーという理由です。<br />
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本書は直木賞作家の三浦しをんさんが、文楽の魅力にどっぷりはまっていく様子の記録であり、同時に極上の文楽入門書でもあります。とにかくおもしろい。文楽の魅力を（太夫＝語る人、人形＝人形を操る人、三味線＝三味線を弾く人、合わせて「三業」の人間的、職業的魅力も含めて）十分に取材し、舞台を見ては泣き笑い、鋭くツッコむ。楽屋や舞台裏にもじゃんじゃん突撃し、人形を触らせてもらっては、かわいいーとはしゃぐ。読者はげらげら笑いながら、いつのまにか人形よろしく、文楽の世界、三浦しをんの世界にあやつられているという仕掛けになっています。<br />
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三浦さんは国立劇場での観劇だけに飽き足らず、京都南座や、愛媛県の内子座にも出かけます（そういえば四国旅行をした時に内子座を見学しました）。人形浄瑠璃が出てくる落語も聞きあさり、さらに人形浄瑠璃から移植された歌舞伎も見に行ったりする（落語の段で紹介される実祖父のエピソードは絶品です）。とにかく、のめり込み方が尋常じゃありません。そしてついに、生命を持たない人形が人間ドラマを演じるこの芸能の「本質」を見いだします。このあたりの語り口は実に説得力があり、文楽の楽しさ、おもしろさがぐぐっと迫ってきます。<br />
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有名な「仮名手本忠臣蔵」や「桂川連理柵」、「女殺油地獄」のストーリーも詳しく、しかも的確に、独自の視点で紹介されていて、これだけでも読んでよかったなと思わせます。<br />
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そして何より、生の文楽が見たくなりました。本当におもしろいんだろうな。なんとか機会をつくって舞台を見てみたいーと強く思わせる１冊でした。文楽、ちょっとおもしろそうだなという方におすすめです。（２００７年、ポプラ社）]]></content></entry><entry><title>彼女はカリオカ／ジョアン・ジルベルト</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=513419" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=513419</id><issued>2008-06-11T20:56:44+09:00</issued><modified>2008-06-19T04:08:15Z</modified><created>2008-06-11T11:56:44Z</created><summary>今年はボサノバが生まれて５０周年、合わせてブラジルへの日本人移民１００周年という節目の年。ということで日本国内でもいろいろなイベントが予定されています。僕もボサノバ５０周年を記念して、この夏はボサノバの生みの親のひとりであるジョアンのCDを１枚ずつ丁寧に...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/enmexico.jpg" width="197" height="196" alt="" class="pictr" />今年はボサノバが生まれて５０周年、合わせてブラジルへの日本人移民１００周年という節目の年。ということで日本国内でもいろいろなイベントが予定されています。僕もボサノバ５０周年を記念して、この夏はボサノバの生みの親のひとりであるジョアンのCDを１枚ずつ丁寧に聴いていこうと思っています。１１月の来日公演へ向けての予習というところでしょうか。<br />
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アメリカでのボサノバブームで消耗し、メキシコに移り住んだ「不遇の時代」（といわれている）、１９７０年に録音された作品。オリジナル盤のタイトルは「Em Mexico」（「メキシコにて」。もともとは違ったらしいですが）で、メキシコの大リゾート地である「アカプルコ」なんていうタイトルの曲を取り上げていたり、メキシコの大作曲家の曲をやっていたり、大メジャー曲「ベサメムーチョ」も収録されていたりと、バラエティに富んだ選曲。またラストはかわいらしいアレンジで、ミュージカルナンバー「トロリーソング」をチャーミングに歌っています。<br />
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こう書くと、何だかとりとめのないアルバムのようですが、どの曲にもジョアンの独特のハーモニーが付けられ、明瞭に聴き取れるギターのボイシングもゆったりと美しい。「不遇をかこっていた」なんて思えない、ジョアンの他のアルバムと比べても、明るく、楽しく、美しい録音です。<br />
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ジョビンの名曲「ESPERANCA PERDIDA」、別れたアストラッドとの間の息子のために作ったインスト曲「JOAO MARCELO」、スペイン語で歌われるメキシコの作曲家のワルツ「FAROLITO（街灯の意味。ジャケットには街灯のイラストが描かれています）」へと続く中盤は本当に美しい。ラスト前の、ジョアンが後に好んで演奏することになる「ECLIPSE」も、すでに静かな完成形を見せています。<br />
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ジャケットの写真に写っているジョアンは、よれっとしたニットに、うっすら口ひげも生えていて、なるほどなかなか苦しい時代だったのかなとも思わせますが、アルバムの内容は本当に素晴らしいのです。手許にあるのは日本のボンバレコードがオルフェオン社製を直輸入したという盤。ジャケットのデザインがオリジナルとはちょっとだけ違っています。口ひげジョアンの写真は一緒ですけどね。（１９７０年、BOMBA RECORDS）]]></content></entry><entry><title>まっぷたつの子爵／イタロ・カルヴィーノ</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=506217" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=506217</id><issued>2008-06-02T15:06:48+09:00</issued><modified>2008-06-02T09:20:15Z</modified><created>2008-06-02T06:06:48Z</created><summary>長大な詩を読んでいるような作品。寓話的な、何とも非現実的な小説ですが、読むにつれ、作品世界にどんどんと引き込まれていきます。実におもしろく、奇妙で、美しい、としかいいようのない作品です。

戦争で砲弾を浴び、まっぷたつに吹き飛んだ子爵は、半身だけの姿に...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/itaro.jpg" width="180" height="256" alt="" class="pictr" />長大な詩を読んでいるような作品。寓話的な、何とも非現実的な小説ですが、読むにつれ、作品世界にどんどんと引き込まれていきます。実におもしろく、奇妙で、美しい、としかいいようのない作品です。<br />
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戦争で砲弾を浴び、まっぷたつに吹き飛んだ子爵は、半身だけの姿になり故郷へ舞い戻ります。子爵の心も悪と善のまっぷたつに引き裂かれており、子爵の半身には「悪」だけが残されました。「悪半」となった子爵は好き放題に厄災を振りまき、故郷の人々を恐怖に陥れます。しかし、そこに吹き飛んだはずの「善」の半身もまた故郷へ戻ります。イノセントな「善半」の行為は当初は歓迎されますが、善ゆえのその行為もまた人々を困惑させ疎まれ始めます。悪半と善半は最後に決闘することになるのですがーというストーリー。<br />
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人間はだれしも、心の中で善と悪がせめぎ合い、そのどちらかが優越しても、人格のバランスを失うのだーということを（けして、そのことをメッセージとして企図した作品ではないと思いますが）切実に考えさせられます。そして、人間とはなるほどうまくできているなということも思い知らされます。自身の暗い部分を憎みながらも無意識に目をつぶることができる、素晴らしい能力とでもいいましょうか。しかし終盤の決闘の場面では、思わず、そのつぶった目が見開かれ、自身で、自身に刃を向ける人間の極限状態の姿が描かれます。<br />
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寓話のスタイルを借りたこの美しい作品は、最後はめでたしめでたしという雰囲気を漂わせながら結末へ近づくのですが、最後の最後に、この世界が奇妙なバランスで成り立っていることを強烈に伝えます。作品の言葉を借りれば「責任と鬼火に満ちた世界」にわれわれはいるのだということを痛切に感じさせます。本作が書かれてから、すでに５０年以上がたちますが、今も世界は、責任と鬼火に満ちていることは変わりありません。しかし、当時と現在を比べると、現在の方が明らかにバランスが狂っていると実感します。<br />
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なあんて、寓意や風刺、教訓などをいちいちつかまえて読むのもおもしろいのですが、本作はともかく、楽しく、奇妙で、美しい作品。子どもでも分かりやすく読むことができるお話です。イタロ・カルヴィーノからの「文学のおくりもの」を素直に受け取って楽しめばいいのでしょう。<br />
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イタロ・カルヴィーノ（１９２３〜８５年）はキューバ生まれ、イタリア育ちのイタリア現代文学の代表的作家。第二次大戦中はパルチザン活動に身を投じ、戦後に執筆開始。本作は「木登り男爵」「不在の騎士」とともに「われらが先祖」３部作の１作目といわれています。（１９７１年、晶文社「文学のおくりもの」２）<br />
]]></content></entry><entry><title>口笛とウクレレ２／関口和之 featuring 竹中直人・分山貴美子</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=503376" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=503376</id><issued>2008-05-28T19:37:55+09:00</issued><modified>2008-05-30T06:50:42Z</modified><created>2008-05-28T10:37:55Z</created><summary>先日、「ウクレレサミット」なるライブに参加してきました。札幌のいろいろなタイプのウクレレプレーヤーが集まって、それぞれにソロを披露するという内容。僕も数曲演奏しました。すごいテクニックの人も、まだウクレレを始めたばかりという人もいて、演奏する曲のタイプ...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>music</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/kuchiuke.jpg" width="200" height="179" alt="" class="pictr" />先日、「ウクレレサミット」なるライブに参加してきました。札幌のいろいろなタイプのウクレレプレーヤーが集まって、それぞれにソロを披露するという内容。僕も数曲演奏しました。すごいテクニックの人も、まだウクレレを始めたばかりという人もいて、演奏する曲のタイプもいろいろでしたが、本当に心から楽しめました。出番を待つ間も、終わった後もずっとニヤニヤしっ放し。僕はやっぱりウクレレが好きなんだなと、改めて自覚しました。<br />
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本作もそんな「ニヤニヤ気分」にあふれた１枚です。サザンオールスターズ（活動休止らしいですね。おつかれさまです）のベーシストで、ウクレレラブの関口和之さんのプロデュース作。８年前にリリースされた前作「口笛とウクレレ」のパート２です。<br />
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口笛には、前作からの竹中直人さんに加えて、２００７年世界口笛チャンピオンの分山貴美子さんが参加。口笛とウクレレで全８曲が収録されました。まるで小鳥の声のようにクリアーで、でも少しメロウな美しい音色の分山さんと、メランコリックで渋い味わいの音色の竹中さんの口笛の違いも楽しめます。「ぼくの伯父さん」は竹中さんに、「蘇州夜曲」は分山さんにぴったりです。そして「夏の日の恋」の分山さんは本当に小鳥そのもの。そのまま飛んでいっちゃうんじゃないかと思うくらいです。<br />
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ウクレレを中心としたバックのアレンジ、演奏も聴きごたえ十分。「カーマは気まぐれ」の８０年代っぽい感じや、「幸せの黄色いリボン」のリコーダーを使ったアレンジには脱帽。達者で気の利いたサウンドがますますニヤニヤ度を高めます。<br />
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前作よりも、全体にアッパーでウキウキと軽快な選曲だと思いますが、最後の「ラ・メール」まで通して聴くと、ちょっぴりもの悲しいような味も残ります。口笛の響きのせいでしょうか。でも、そのもの悲しさは、けして嫌な感じではなく、すがすがしい感覚なんです。わけもわからず、もの悲しくなるなんてこと、あまりないですよね。その気分を味わいたくて、もう一度、もう一度と聴きたくなるアルバムです。何度聴いても、最初はニヤニヤ、最後には理由のない、もの悲しさが残る。これは名盤です。（２００８年、ビクター・エンタテインメント）]]></content></entry><entry><title>森枝卓士のカレー・ノート／森枝卓士</title><link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog1.cholonweb.com/?eid=499279" /><id>http://blog1.cholonweb.com/?eid=499279</id><issued>2008-05-21T16:04:58+09:00</issued><modified>2008-05-21T11:06:21Z</modified><created>2008-05-21T07:04:58Z</created><summary>北海道ではしばらく前から、スープカレーがブームになっています。最近はラーメンやジンギスカンなどの旧勢力を蹴散らす勢いで、北海道を代表する味覚のように扱われ、専門店も急増しました。わが家にも最近、遅ればせながらブームが到来し、外食の機会があれば（あまりな...</summary><author><name>キクチマコト</name></author><dc:subject>book</dc:subject><content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<img src="images/curry.jpg" width="178" height="248" alt="" class="pictr" />北海道ではしばらく前から、スープカレーがブームになっています。最近はラーメンやジンギスカンなどの旧勢力を蹴散らす勢いで、北海道を代表する味覚のように扱われ、専門店も急増しました。わが家にも最近、遅ればせながらブームが到来し、外食の機会があれば（あまりないのですが）、目についた専門店に入っては食べてみています。もとより美食家でもないし、どの店に入ってもだいたいおいしいなあと感じてしまうので、ブームを歓迎し、堪能しているところです。<br />
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本書は、アジアを中心に「食」などの生活文化について、すぐれたルポルタージュを数多く著している森枝さんが、インドや東南アジア各地で味わったカレーを再現してみたレシピ集。他の著作にみられるような食文化についての鋭い考察は本書ではひとまず置いて、ひたすらおいしいカレーに迫ってみようという内容です。<br />
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森枝さんはインドやアジア各地の取材の際に、カレーを食べては屋台や家庭の厨房に入り、秘伝を聞き出します。その取材を基にスパイスなども用意して、自宅の台所で試作を繰り返し、時には手抜きする方法を編み出し、日本人の口に合うようにアレンジも加えて、おいしいカレーのレシピを完成させました。<br />
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「インドのカレー」「東南アジアのカレー」「和風・洋風カレー」の３章に分かれていて、あまりなじみのないカレーも登場します。レシピには途中の写真も掲載されており、スパイスなど入手しにくそうな材料も多少ありますが、このレシピがあれば、本場のカレーが簡単に作れそうです。ほかにもスパイス辞典や米、ココナツミルクに関するコラムなど、カレー回りのミニ知識もふんだんに盛り込まれており、読み物としてもとてもおもしろい。<br />
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森枝さんはもともと報道写真家でもあるので、各地のカレーはもちろん、人々や市場など風景写真も豊富に掲載されており、スパイスや魚醤、果物などの香りが混じり合い、高い湿度とあいまって独特のにおいが漂うアジアの街のあの雰囲気を感じることもできる１冊です。僕は読みながら、ビルマで食べたカレーがものすごく油っぽかったことや、マレーシアで食べた卵入りのカレーがとてもおいしかったことを思い出しました。<br />
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本書が上梓されたころ、北海道のスープカレーはまだメジャーではありませんでした。森枝さんだったら、スープカレーをどんな風に位置づけるでしょうか。最近の著作を読んでいませんが、ひょっとしたら何か書いておられるのかもしれません。探して読んでみたいと思います。（１９９９年、集英社文庫）<br />
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